2011年11月18日金曜日

「空気」と「世間」を読了!!

「空気」と「世間」 (講談社現代新書)

演出家の鴻上尚史氏による著書。
私自身は社会学研究等には一切関係ないが、最近のソーシャルメディア
を取り巻く状況を色々と調べていたら、ここに行きついた。
本書に登場する山本七平氏や阿部謹也氏の研究にも抵触している。

内容についてではあるが、演出家のプロならではの切り口で「空気」と「世間」に対して鋭い考察を入れている。
過去の研究も引用的に引いてくるが、彼の演出の実績による空気感の理論。最近の現状に照らし合わせた社会感描写など、なかなか舌を巻く内容であった。

「世間」と「社会」の定義というくだりがあるのだが、鴻上さんは近さゆえの関心があるorなしでこれらを定義している。これをネットワーク的に言ってしまえば、ノード間の結合の有無ということになろうか。
このダブルスタンダードでの基準が大変興味深い示唆を与えてくれた。

この辺の関係をもう少し掘りたい。

目次
第1章 「空気を読め!」はなぜ無敵か?
お笑い番組の「空気」/「順番に来るいじめ」/日常というテレビ番組/
司会者がいない場の空気に怯えるな etc.
第2章 世間とは何か
席取りをするおばさんの「世間」と「社会」/ 「しようがない」の意味/
インテリが無視する「世間」/西洋にも「世間」はあった/
神と「世間」の役割は同じ etc.

第3章 「世間」と「空気」
「世間」が流動化したものが「空気」/日本人がパーティーが苦手な理由/
差別意識のない差別の道徳etc.

第4章 「空気」に対抗する方法
絶対化に対抗する相対的な視点/ 「多数決」さえ絶対化する日本人/
議論を拒否する「空気」の支配/「空気」の世界は理屈のない世界etc.

第5章 「世間」が壊れ「空気」が流行る時代
中途半端に壊れている「世間」/精神的なグローバル化/
不安と共に急速に壊れ始めた/超格差社会を生きる個人を支えるキリスト教/
空気で手に入るのは「共同体の匂い」/抑圧としての「世間」にうんざりする人々etc.

第6章 あなたを支えるもの
資本主義の「中世」化/「世間」を感じるために他者を攻撃する/
ほんの少し強い「個人」になるetc.

第7章 「社会」と出会う方法
「世間」に向けて発信した秋葉原連続通り魔事件の被告/「社会」に向かって書くということ/
「社会」と出会うための日本語/複数の共同体にゆるやかに所属するetc.


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