2012年5月30日水曜日

DSP/RTBオーディエンスターゲティング入門 ビッグデータ時代に実現する「枠」から「人」への広告革命を読了!



DSP/RTBオーディエンスターゲティング入門 ビッグデータ時代に実現する「枠」から「人」への広告革命 (Next Publishing)

待望のDSP/RTBオーディエンスターゲティング入門を読み終えた。

AdExchange市場が叫ばれてから久しいが、ちゃくちゃくとその基盤が出来つつあるという印象だ。
セプテーニ近藤さんが作成されている日本版カオスマップを見ても、虫食いだった過去の日本版カオスマップが嘘のようであると感じる。



さて、本書はこのAdExchange市場における重要なファクターのDSP(Demand Side Platform)とRTB(Real Time Bitting)についての入門本という位置づけになっている。
下記に目次を記したが、これを見てもわかるとおり、経緯から基本的な仕組みまで網羅されており、図解もあるので、大変わかりやすく、すばらしい内容になっている。

目 次
第 1 章 広告配信の進化と DSP/RTB の登場
Chapter 1-1 進化した広告配信
Chapter 1-2 DSP/RTB の基本的な仕組み
Chapter 1-3 DSP/RTB/SSP の取引形態
Chapter 1-4 トレーディングデスクの業務
Chapter 1-5 DMP の役割
Chapter 1-6 アドエクスチェンジというビジネス
Chapter 1-7 「枠」から「人」へのパラダイムシフト
第 2 章 オーディエンスターゲティングの基礎知識
Chapter 2-1 内部データと外部データンプレッションを判断するためのデータ
Chapter 2-2 リターゲティング拡張で配信先を広げる
Chapter 2-3 ネットの行動とリアル行動の統合
Chapter 2-4 人の連想ではできないデータから読み取るターゲテティング
第 3 章 自動最適化のプロセス
Chapter 3-1 レスポンス(反応)を最適化する
Chapter 3-2 反応からターゲットを探す
Chapter 3-3 予測モデル
Chapter 3-4 フリークエンシーとロードバケット
第 4 章 DSP を活用したデジタルマーケティング戦略
Chapter 4-1 リスティング広告依存からの脱却
Chapter 4-2 3STEP パーチェスファネルの構築
Chapter 4-3 並列のメディアプランから直列のコミュニケーションプランへ
Chapter 4-4 インプレッションを計測する
Chapter 4-5 CV までのフェーズをブレイクダウンする
Chapter 4-6 サイトのシナリオと評価軸を構築する
Chapter 4-7 コンシューマーディシジョンポイントを発見する
Chapter 4-8 フェーズごとのメッセージ・クリエイティブ設計
Chapter 4-9 リスティングやメールなど他施策と統合する
第 5 章 DSP/RTB が切り拓くデジタルマーケティングの未来形
Chapter 5-1 世界中のインプレッションにアクセスできる時代
Chapter 5-2 EC のグローバル化で世界中にキャンペーン
Chapter 5-3 スマートフォン DSP と 4 スクリーン
Chapter 5-4 マスマーケティング企業のための DSP 活用
Chapter 5-5 トリプルメディアマーケティング時代の DSP 活用
Chapter 5-6 デジタル CMO が活躍する時代
第 6 章 プレイヤーの動向
Chapter 6-1 フリークアウト「FreakOut」
Chapter 6-2 プラットフォーム・ワン「MarketOneRTB」
Chapter 6-3 Platform ID「Xrost」
Chapter 6-4 マイクロアド「MicroAd BLADE」
Chapter 6-5 海外のプレイヤーの状況
補稿 日本のネット広告の歩み

もう1点感じた点としては、著者がデジタルインテリジェンスの横山さん、楳田さん、オムニバスの菅原さんという布陣となっており、エンジニアよりではなく、マーケターよりの著者による入門本であることを特徴としてあげたい。

そのため、RTBのビット方式の説明などが非常に平易であり、わかりやすく解説されている。
広告業界はテクニカルタームが多い(とりわけ3文字略語)ので 、他の業界からすると、嫌がられる傾向があるのだが、その辺はご容赦いただきたいところだ。

ところどころ、横山さんのトリプルメディアマーケティングと絡めた内容であったり、パーチェスファネルでのKPI設計とともにDSPを活用するなどの内容(たぶん、菅原さん?)で、大変参考になった。
特に、離反顧客に対してのDSP活用、リターゲティングの拡張は目から鱗だった。
ここはcookieの期間とかいろいろと事情が絡むよなぁ…とかも思ったりしたが、用途によってという選択ができると面白いのかもしれない。

本書でも指摘があるのだが、今のWebマーケティングはリスティング広告などによるCPA重視の戦略が非常に多いのは周知の通り。そこから、いかにディスプレイ広告などの認知施策をうまく戦略に落とし込んでいくか、またいかによいKPIを設計できるかにかかってくると思う。
(アトリビューションも同じイシューを別切り口から攻めていると思っています)

この辺は改めていろいろと議論をしていきたい場所であるなぁ。

最後の各社のDSP紹介も、とてもわかりやすくてよかった。

広告業界だけでなく、広告主側(特にマーケター)にはぜひ読んでいただきたい1冊。
なお、本書はリアル書店では販売されておらず、電子書籍またはAmazonでの購入チャネルのみとのことである。ご注意を。Amazonの総合ランキングも2桁台と好調なようです!


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