2013年12月22日日曜日

統計検定2級についてちょっと語る

1ヶ月ちょっと前の統計検定2級を受験したのだが、それについての所感やら愚痴やらをちょっと書いておこうと思います。

統計検定って何?

「統計検定」とは、統計に関する知識や活用力を評価する全国統一試験です。 データに基づいて客観的に判断し、科学的に問題を解決する能力は、仕事や研究をするための21世紀型スキルとして国際社会で広く認められています。 日本統計学会は、中高生・大学生・職業人を対象に、各レベルに応じて体系的に国際通用性のある統計活用能力評価システムを研究開発し、統計検定として資格認定します。

日本において統計学部がないと憂いていた件への1つの解法なのか、こういった資格制度を用意して活用していこうという試みらしい。
検定にも4級〜1級、統計調査士、専門統計調査士、RSS/JSSという複数のものがある。

種々あるのだが、ユーザーベースで考えれば2級ないし1級を持っていれば、まあ、それなりなのではないだろうかと思う。(1級:専門分野、2級:基礎分野)

とりあえず、データをいじる仕事をしているので、受験した(させられた)次第である。

統計検定2級の出題範囲

・データソース
・データの分布
・1変数データ
・2変数データ
・推測のためのデータ収集法
・確率モデルの導入
・推測
・因果関係
・活用

このような大枠が設定されている。試験としてはマークシートでの4択。
2級であれば、4割くらいが毎回の合格者数ということのようです。

内容的にも大学の学部での統計学の1年間のカリキュラムの範囲内ということで、基礎分野という設定では良さそうだが、ベイズとか尤度とかの範囲までは設定されていない。

公式テキスト

ここが問題である。
検定協会が推薦している書籍は下記。


これなのだが、公式だから推奨されているのだろうが、書かれている内容はけっこうひどい。統計学初学者には絶対におススメしない。別の本を手に取った方がよいだろう。
書かれている内容がまったく入って来ないし、分布表の記載がテキスト中にあるにもかかわらず、巻末に載せていない始末でもあるし、その辺の編集の具合すら疑いたくなってしまうものだ。
唯一の長所は、練習問題が本番の試験っぽい感じのが載っていることくらい。

ちょっと忙しくて、1週間ほどしか試験への対策がとれなかったのだが、最初にこのテキストを読んだ後、ひたすらイライラしていたので、思い切って過去に使っていたテキストに鞍替えした。

 
僕の師匠もちょっと知り合いだった大屋先生の本。これは非常に平易に書かれているし、実例も豊富なので、大変よろしい内容でした。
記述統計は仕事でも使うけど、推測統計や推定・検定などはあまり使わないので、これで考え方を戻せたのがよかったと思う。

当日の試験

個人的に最大にやられたのは、配布されたマークシートである。
90分という試験時間なので、3~40問くらいかなーと思っていたのだが、配布マークシートに60問もマークする箇所があった。
これで、1瞬終わったと思ったのだが、結局問題は全部で35問しかなかった。
この試験問題数偽装によって、自分の時間配分は完全に狂わされたし、途中からスピードアップを強いられ、その結果、その辺の箇所がぼろぼろだったことが反省点でした。
(結果15分前に終わってしまう)

最終的には7割ほどの正答率だったので、とりあえず、合格はしたのだが、マークシートだったからよかったという点もある。
今後1級を取る予定はないが、統計学を今一度学ぶのにはよい機会だったように思うし、公式テキストの犠牲者を1人でも減らす目的で本エントリを書いた次第。

Enjoy!

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

まったく同感。分散をn-1で割る形で定義している説明のくだりなど、まったく説明になっていない。本には「全員による点検作業で大幅な修正を施し」とあるが、他の教授が担当章をまとめて書いたものを同僚教授がその構成全体を批判することなど、誤字脱字、部分的な修正以外、できることは到底ありえないと思います。なぜなら、他の教授に「書き直せ!」というに等しいからです。えらい先生ばかりの集まりのようで、おそらく一人の人間で執筆で本を出すことができない組織の事情があるのは容易に想像できます。

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