2014年8月31日日曜日

株式会社ALBERTを退職しました

2012年2月の入社から2年半お世話になった株式会社ALBERTを8月末をもって退職しました。
過去に入社エントリも書いていたので、この退職エントリをもって、1つのストーリーを締めくくりたいと思います。

在籍時の外部環境



私が入社をしたタイミングでは「ビッグデータ」が今まさに国内で伸長している時期でした。この時期ではまだまだ分析業務が一般的ではなく、分析に対してコストをかけるという概念がそれほど一般的ではありませんでした。
それは、入社エントリにも認識としてありました。

株式会社ALBERTに入社しました
最近の記事で指摘があるように、分析を企業は所与のコストがかからない作業と見なす傾向があるので、分析者にとってはなかなか難しい環境が多いのですが、そこへの理解は抜群です。
先ほどのGoogleトレンドの事例を見てもわかる通り、そこから「ビッグデータ」はメディアも取り上げるバズワードとなり、そのブームに呼応するようにして、ビッグデータを扱う担当者として「データサイエンティスト」という職種の勃興もありました。

かつて、「CRM」や「データマイニング」、「データベースマーケティング」というようなワードが盛り上がった系譜を受け継いでおり、業界に長くいる方からすると、ワードを変えただけでやっている事に関してはそれほど大差はないようなものでした。

私自身、この業界には今回のブームを目論んで参入してきており、「分析力をコアとする企業」において、このブームを比較的中心に近い位置で経験できたことはとても良かったように思います。かつては外から見つめているだけでしたが、実際に当事者として関連していくことで新たな視点で見られる契機となったように思います。
そんな時期に貴重な経験をさせていただいたALBERTには大変感謝しています。

また、外部のコミュニティにおいても、積極的に関わることを自分の中では決めていました。自分の成長のためが主目的でしたが、会社のPRやリクルーティングもそのプロセスにおいて関与することもあり、少なからず貢献できたのではないかと思っています。

今後について

かつてのキャリアの中で忸怩たる思いのまま放置していたBtoC向けサービスに対する思いがずっと自身の中で燻っていました。
今後はそちらのキャリアを歩むことで、かつての挫折に終止符を打つべく邁進していきたいと考えています。

とはいえ、データ分析自体は今後も自身のキャリア軸の1つとして存在していますので、コミュニティへの関与については継続的に行っていきたいとも思います。

最後に、この2年半で関わった皆様に御礼を申し上げたいと思います。
また、今後ともどうぞよろしくお願いいたします!

2014年8月29日金曜日

スタンフォードの自分を変える教室を読了した

スタンフォードの自分を変える教室
ケリー・マクゴニガルさんの少し前に話題となった書をようやく読了。
非常に示唆に富む内容で、早速行動に落とし込むべく、日々実践をしています。

10章より引用
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自己コントロールを強化するための秘訣があるとすれば、科学が示しているのはただ一つ、注意を向ける事がもたらす力です。
すなわち、行動を選択すべきときはそれをしっかりと意識して、ただ漫然と惰性に従って行動しないように注意する事。
言い訳をして物事を先延ばしにしたり、よいことをしたのをいいことに自分を甘やかそうとしているのに気づく事。
報酬の予感は必ずしも報酬をもたらすとは限らない。そして、将来の自分はスーパーヒーローでもなければ赤の他人でもないと認識する事。
身の回りのどんなものが自分の行動に影響を与えているかを見極める事。
いっそ分別など捨てて誘惑に負けてしまいたいようなときに、ぐっと踏みとどまって自分のなかの欲求を静かに見つめる事。
そして、自分が本当に望んでいることを忘れず、どうすれば心からうれしく思えるかをわきまえていることでもあります。
このような自己意識は自分が困難なことた最も大事な事を行う時に、つねに力を貸してくれます。それこそ意志力とは何たるかを最もよく表しているでしょう。
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蓋し至言である。
意志力について意識を傾け、本書におけるアドバイスを指針に今後の人生を歩んで行きたい。

以下、各章のポイントのメモ

■1章ポイント
意志力には「やる力」「やらない力」「望む力」の3つの力がある。これこそ、私たちがよりよい自分になるために役立つものである。
 ・マイクロスコープ
  できない理由を特定する
  もう一人の自分に名前をつける
 ・意志力の実験
  選択した瞬間を振り返る
  5分で脳の力を最大限に引き出す

■2章ポイント
意志力はストレスと同様、自分自身から身を守るために発達した生物的な本能である。
 ・マイクロスコープ
  なぜ「やりたくないこと」をしてしまうのか?
  ストレスでいかに自制心が落ちるか試す
 ・意志力の実験
  呼吸を遅らせれば自制心を発揮できる
  グリーン・エクササイズで意志力を満タンにする
  眠りましょう
  体にリラクゼーション反応を起こす

■3章ポイント
自己コントロールは筋肉に似ている。使えば疲労するが、定期的なエクササイズによって強化することが出来る。
 ・マイクロスコープ
  意志力の増減を観察する
  疲労感を気にしない
 ・意志力の実験
  お菓子の代わりにナッツを食べる
  目標に関係のある強化法をやってみる
  「望む力」をつくりだす

■4章ポイント
意志力のチャレンジに取り組むにあたり、道徳的によいことをしているような気分になると、良い事をした分、悪い事をしてもかまわないような勘違いを起こしてしまう。自己コントロール力を向上させるには、道徳的な良し悪しよりも、自分の目標や価値観をしっかりと見つめる事。
 ・マイクロスコープ
  自分の「言い訳」を知る
  「あとで取り返せる」と思ってませんか?
  誘惑の「キーワード」を見つける
 ・意志力の実験
  「なぜ」を考えれば姿勢が変わる
  「明日も同じ行動をする」と考える

■5章ポイント
私たちの脳は報酬を期待すると必ず満足感が得られると勘違いするため、実際には満足感をもたらさないものでも必死に追い求めてしまう。
 ・マイクロスコープ
  ドーパミンの引き金を探す
  心を動かすものの正体を暴く
  欲望のストレスを観察する
 ・意志力の実験
  「やる力」とドーパミンを結びつける
  快感の誘惑に負けてみる

■6章ポイント
落ち込んでいると誘惑に負けやすくなる。罪悪感をぬぐい去れば自信が持てる
 ・マイクロスコープ
  「あなたが怖れている事」は何ですか?
  つまずいたとき自分に「何」を言ってますか?
  「決心するだけ」を楽しんでいませんか?
 ・意志力の実験
  根拠のある方法を実行する
  失敗した自分を許す
  決意を持続させるためのシミュレーション

■7章ポイント
将来のことを思い描けずにいると、私たちは誘惑に負けたり物事を先延ばしにしたりしてしまう。
 ・マイクロスコープ
  将来の報酬の価値を低く見ていませんか?
  「万能の自分」を待っていませんか?
 ・意志力の実験
  「10分待つ」と何が起こるか?
  割引率を下げる
  逃げ道をなくす
  未来に行って「将来の自分」に会う
  
■8章ポイント
自己コントロールはソーシャルプルーフの影響を受ける。そのせいで他者の意志力にも誘惑にも感染する。
 ・マイクロスコープ
  あなたの「感染源」を発見する
  誰の「まね」をしていますか?
  誰の影響を最も受けていますか?
  努力するのを普通にする
 ・意志力の実験
  意志力の「免疫システム」を強化する
  「鉄の意志をもつ人」のことを考える
  「認められたい力」を作動させる

■9章ポイント
思考や勘定や欲求を抑えつけようとするのは逆効果で、そうするとかえって自分がどうしても避けたいと思っている事を考えたり、感じたり、行ったりしてしまうことになる。
 ・マイクロスコープ
  「皮肉なリバウンド効果」を検証する
  自分に何を禁じていますか?
 ・意志力の実験
  欲求を受け入れる-ただし従わないで
  「やらない力」を「やる力」に変える
  「欲求の波」を乗り越える

采配を読了

采配
なんとなく、普段は読まない野球本に手を出したのだが、予想を裏切る面白さ、一文一文全てが突き刺さってくるので、これは非常に面白かった。

プロフェッショナルとしての立ち振る舞いや姿勢、マネジメントする立場としてどうするかなど、非常に示唆に富む内容だった。
本人自身もビジネスマンは〜と書いているように、対象読者層をビジネスマンにしているので、ずしりと響く言葉が多かった。興味あればぜひ読んでおくべき1冊。

1章「自分で育つ人」になる
2章勝つということ
3章どうやって才能を育て、伸ばすのか
4章本物のリーダーとは
5章常勝チームの作り方
6章次世代リーダーの見つけ方、育て方

「わさビーフ」したたかに笑う。業界3位以下の会社のための商品戦略 を読了した

「わさビーフ」したたかに笑う。業界3位以下の会社のための商品戦略 (アスカビジネス)
わさビーフ。言わずと知れたポテトチップのくせ者である。いや、それは言い過ぎか。
何の気はなしに、このジャケットに惹かれて読んでみたのだが、今季のベストチョイスにならんばかりの良書だった。

ポテチ業界はカルビーとコイケヤの2大巨頭の寡占市場であり、わさビーフを提供する山芳製菓は3位のポジショニングらしい。
そんな中、25年も愛されるヒット商品をなぜ生めるのかというコンセプトのもと、様々な事象が語られている。

山芳製菓の人づくりの素晴らしさやマーケティングの妙など目から鱗の内容が多かった。
回り回ってやはり人が大事だし、その仕組みづくりは重要だと認識した。

また、これは中の人が書いたものではなく、商品開発の会の幹事をやっている濱畠さんという方が取材を元に上梓した内容だという事も興味深い。
著者自身は大東建託で、色々と経験された方のようだ。

仕事柄、マーケティングなどは関係するのだが、非常に参考になる部分が多く、また読み返したい1冊。
そして、関係者にあってみたいと思う1冊だった。
おすすめである。

■目次
第1章 開発力の秘密はここにあった!(逆境が生んだ「アイデア集団」
信じて育てたメガヒット ほか)
第2章 大手にはできないことがある!(どこにでもあるものなんて作らない
大ヒットを目標にしないモノ作り ほか)
第3章 発想の良しあしに企業規模なんて関係ない(「売れなくて当然」の逆境が発想を生む
突き抜けた挑戦心がヒットを引き寄せる ほか)
第4章 消費者にどこまで寄り添えるか(「ライフスタイル」をとらえているか
「冒険心」をくすぐるか ほか)
第5章 小さく効率的なブランド戦略(「専門性」と「独自性」の違い
“会社"よりも“商品"のブランド戦略 ほか)

2014年8月22日金曜日

武雄市の図書館に行って来た

福岡に旅行に来たついでに、CCCが運営委託を受けて話題となった武雄市の図書館に来てみた。
公立の図書館でありながら、なかなかユニークな試みだが、佐賀県武雄市という立地上、なかなか機会がなかったが、ちょっと足を伸ばしてみた。

特急を使うと、博多駅から1時間ほどで武雄温泉駅まで行く事ができる。
武雄温泉駅はかなりのどかだった。なぜなら、駅の改札が自動機札ではなく、おばちゃんに切符を渡したのでw

駅からは車で5分ほどの距離に図書館はある。図書館の目の前はベスト電器。
いわゆる地方のショッピング集積地っぽい地域にある。

建物だけ見ると、スタイリッシュなのだが、このすぐ後ろは山だし、田舎っぽい街並の中にこの建物が存在していることがものすごく違和感だった。




賛否両論あったけど、ものすごくいい空間だと感じました。
スーツの人が来ていたので、どこかの自治体の関係者が視察に来ていたのかもしれません。でも、この取り組みは運営費の削減を実現しているので、非常に良いと思います。
数時間、館内にいて蔵書のチェックとか雰囲気とか利用者の顔を眺めていたのですが、集客という観点では非常に成果を上げている。
特に田舎の場合、大きなショッピングモールにしか行き場がないと思うけど、3世代利用とかもいるし、図書館なんだけど、子供が走り回っていたりで、独特の文化が垣間見えました。

以下、武雄図書館の2Fのスペースでメモしたこと。

・平日の昼間だけど、幅広い属性の人たちが来ている。
(一人で読書、家族、子供連れ、3世代、テスト勉強、友達同士)
・店内にスタバが併設されているので、カフェ利用者もいるが、基本は静か。
・このブログの草稿は図書館の2F席で書いているが、タイピング音がうるさくならないように気をつけて打ってる)
・図書のディスプレイが非常にいい感じ。
・印象として、攻殻機動隊のアオイと少佐の知見を披露する図書館っぽいイメージ
・天井が高いので、けっこう蔵書で高い位置に配置されている書籍も多い。
(脚立が2脚ある。でもStaff Onlyなので、依頼しなければいけないのだろう。)
・テラス席もありながら、静かに図書館利用したい席もあって、バリエーションに富んでる。
・レンタルもできる
・蔵書検索のiPadがなかなかいい感じ。ただ、ネット接続がちょい遅い。
・武雄市けっこう田舎
・雑誌や図書販売などもあるが、ぱっと見どこまでがそうなのかはわからない。
・賛否両論あったが、市民の利用率的にはかなりいいのでは。また来たいし、通いたいw

以上、現場からのリポートでしたw

※後からPhoto禁止だと気づきました。すみませんw

2014年8月20日水曜日

弱いつながりを読了

弱いつながり 検索ワードを探す旅
東さんの著作。ちょこちょこ話題になっていたし、弱いつながりをネットワークの紐帯のことかなと思っていたこともあって、読んでみた。ライトなので、数時間で読めます。

結局、ネットワークの件はそんなに大事ではなく、検索スキルを上げるために、ネットに閉じこもっていないで色々な体験をしましょうという趣旨の内容だった。
これには非常に同意できる。

やはり外部から客観視することによって新たな発見もあるし、外の世界で見て、感じたことや新たなワードは本当に糧になると思うからだ。
なんとなく、著者の経験上子供ができるまでは、ネットに閉じこもりがちだったが、それを機にライフスタイルを変えたというのが自分にも当てはまりそうな気がする。

旅というものは、金や時間や労力を考えるとけっこうな投資だが、それ相応に得られるものもあるなぁ。
たまには海外に行くかなぁと思わせてくれたので、星4つ

■目次
0 はじめに――強いネットと弱いリアル
1 旅に出る 台湾/インド
2 観光客になる 福島
3 モノに触れる アウシュヴィッツ
4 欲望を作る チェルノブイリ
5 憐れみを感じる 韓国
6 コピーを怖れない バンコク
7 老いに抵抗する 東京
8 ボーナストラック 観光客の五つの心得
9 おわりに――旅とイメージ

2014年8月18日月曜日

『攻殻機動隊 大原画展』に行って来た

池袋で開催されている『攻殻機動隊 大原画展』に行って来た。


正直、このアニメに出会ってしまったせいで、僕の人生の態度変容は著しい。
未だに定期的に各シリーズを見直して、その世界観や描かれるチームやプロフェッショナリズムに触れることが多い。
そんな作品の原画が見られるというわけで、早速チャリを飛ばして行ってきた。

コンテンツは特設サイトに載っている。
出展内容

いわゆるセル画と呼ばれるアニメーションの元となる絵がメインのコンテンツになるのだが、かなり精緻に描かれていた。背景や雰囲気、ディテールの指示なども記載されたりしているのだが、ほとんどが書かれていない。あれだけのアニメーションを作る上で、セル画上ではそれほどの指示が無いと言う事はどの段階で詳細を詰めているのだろうと興味を持った。


例えば、これは原画と完成品が並列されているのだが、けっこう細かい指示が書かれている。
しかし、ラインの色やちょっとしたディテールくらいで、ほぼ原画で表現されてしまっているのが非常にすごかった。
やはり、人に影響を与える作品ってのはディテールにまでかなり踏み込んで仕上げているのだなぁと、非常に参考になった。
攻殻機動隊が好きな人はぜひ行くべき。
今週で東京は終わっちゃうけど。

追伸
せっかくなので、グッズを購入。


・笑い男のストラップ


・ステッカー(PCその他に貼る用)


・フェイスタオル(インテリア用)

とにかく、満足したので、ブログに備忘録として残しておく。

2014年8月16日土曜日

チームが機能するとはどういうことか――「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチを読了!

チームが機能するとはどういうことか――「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ
チームが機能するとはどういうことかというタイトルに惹かれて読了。
たしか、どこかのブログを読んで、すぐに手に取りたくなったように思う。
これかな。
「チームが機能するとはどういうことか」を考察してみた

ハードカバーなので、少し読むのに労がいるが、間違いなく今年ナンバー1の書だった。
チームで活動するのは、人間活動する上で欠かせないので、仕事だけでなく全てにおいて本書の考え方は適用可能である。

本書の指摘の通り、学習しながら不確実な事象に対処できるように絡んでいきたい。
また、本書は章ごとにまとめがあって、非常に良かったので、ネタバレになってしまうが、下記にメモをしておく。
下記のエッセンスで興味を持たれたら、ぜひとも本書を手に取っていただきたい。満足する事は請負である。

メモ

序文 エドガー・H・シャイン

■第1部 チーミング

第1章 新しい働き方

(lesson&Actions)
 ・今日の複雑で変わりやすいビジネス環境で成功するには、柔軟さと協力と恊働が不可欠だ

 ・チーミングはダイナミックな仕事の仕方であり、しっかりとしたチーム構造という安楽さを持つ事無く、必要な協力と恊働をもたらす

 ・チーミングとそれに関連するメンバー間の行動によって、組織学習が後押しされ、また最適な結果を得られるよう適切なリーダーシップの考え方が要求される。こうした仕事の仕方によって従業員は個人としても専門家としても成長する。これに対し、伝統的なトップダウン・マネジメントが行われる組立てラインの工場では、労働者はするべきことを指示される必要のある子供のように扱われていた

 ・前述したリーダーシップの考え方を表すのが、学習するための組織作りである。これは率直に話し、質問し、アイデアを共有することを促して集団的学習を促進するリードの方法である。

 ・学習しながら実行するというのは、絶え間ない学習を日々の作業プロセスの中に織り込む活動の仕方の事である。ふつう、これはチームの中で生まれ、学習するための組織づくりというリーダーシップの実践によって後押しされる。

 ・プロセス知識スペクトルは業務環境を分類するのに役立つツールである。仕事や部署、あるいは組織全体がスペクトルのどこに位置するかで、仕事の状況とそれに合うチーミングおよび学習目標が特定される

第2章 学習とイノベーションと競争のためのチーミング


(lesson&Actions)
 ・チーミングは今日の組織に必須だが、チームであれ組織であれそれを自然にうまく行えるようになることはない

 ・チーミングの成功には4つの行動、すなわち、はっきり意見を言う事、協同する事、試みる事、そして省察することが必要である

 ・そうした行動はサイクルの繰り返しによって成立する。新たなサイクルは毎回、前のサイクルの結果によって性格づけられ、望み通りの結果が得られるまでサイクルは続いて行く。

 ・チーミングにはいくつかのメリットがある。メリットは大きく2つのグループ、すなわち、組織のパフォーマンスがあがること、魅力とやりがいあふれる職場環境になることに分けられる。

 ・しかしながら、チーミングに不可欠な協調的行動はチームの中に緊張や対立を生む。対立がチーミングにとって望ましいものであることを理解していないリーダーや、対立に取り組むうえで必要なスキルを学ばないリーダーは失敗する運命にある。

 ・対立を収めるためには、リーダーは対立の性質を明らかにし、優れたコミュニケーションを具現化し、共通の目標を明らかにし、難しい話し合いから逃げずに取り組まなければならない。

 ・チーミングには取り組みがいのあるチャレンジが多々あるため、リーダーシップの役割にとくに注意を払う必要がある。学習するための組織作りという考え方をもち、実践するとチーミングと学習の両方を行える

 ・学習するための組織作りをうまく実行に移すためには4つのリーダーシップ行動が必要だ。学習するための骨組みを作る、心理的に安全な場をつくる、失敗から学ぶ、職業的・文化的な境界をつなぐの4つである。


■第2部 学習するための組織づくり


第3章 フレーミングの力

(lesson&Actions)
 ・フレームとは解釈であり、これを使って人は環境を感じて理解する。およそつねにフレームは自然に生まれる

 ・リフレーミングは、自分の行動を変えたり人々に変わってもらったりするための協力なリーダーシップツールである

 ・組織で働く人、とりわけリーダーの立場にある人がどのようにプロジェクトをフレームするかによって、成功するか失敗するかが左右される

 ・チーミングと学習を必要とする新たな取り組みをうまくフレーミングするには、役割と目標ーリーダーの役割、メンバーの役割、チーミングの目標や目的ーが大きく影響する

 ・自分の役割をフレーミングするに当たっては、リーダーは自分が相互依存していることをはっきり述べ、自分も間違う場合があることと恊働を必要としていることを伝えなければならない

 ・チームメンバーの役割を定義するにあたっては、リーダーはメンバーがプロジェクトの成功に不可欠な優れたメンバーとして厳選されていることを強く伝える必要がある

 ・メンバーのやる気を高め、団結させるために、リーダーは明確で説得力のある目標をはっきり伝えなければならない

 ・学習フレームの確立には4つの反復されるステップがある。登録、準備、試行、省察の4つである。

 ・学習フレームを強固にするためにすべきこと。まず、言葉と目を使った会話をする。期待される対人行動と協調的行動を、具体的な言葉を使って説明する。新たな手順がうまく進み、自信を高めやすくなるような行動を始める。様々な結果を使って、学習フレームの要素を視覚的に強固にする

 ・チーミングや学習においてよりよい結果を得るには、個人として行う次の戦術を使ってみよう。このプロジェクトは胸の躍るような機会に満ちている。と、自分に言い聞かせる。プロジェクトの成功に自分は不可欠だと考える。他のメンバーはプロジェクトの成功にとって重要である、と自分に言い聞かせる。以上の3つについて、それらが本当であるかのように他の人に話す。

第4章 心理的に安全な場をつくる


(lesson&Actions)
 ・心理的安全は職場環境での対人リスクがもたらす影響について、個人がどのように認識しているかを示している

 ・職場で直面する明確なイメージリスクとは、無知、無能、ネガティブ、あるいは邪魔をする人だと思われることである

 ・心理的に安全な環境では、信頼と尊敬の両方が特徴になっており、人々は間違ったり支援を求めたりしても罰を受ける事はないと信じる事ができる

 ・心理的安全があると自己表現や実りある話し合いが促されるため、それはチーミングや組織学習にとってなくてはならないものになっている

 ・心理的安全は仲良くなる事もパフォーマンス基準を下げる事も関係ない。むしろ、グループが高い目標を設定し、恊働と集団的学習によってその目標を目指して努力できるようにするものである

 ・心理的安全によって明確に7つのメリットがもたらされることが、研究から明らかになっている。心理的安全があると、率直に話す事が促され、考えを明晰にすることができ、意義ある対立が後押しされ、失敗が緩和され、イノベーションが促進され、目標とパフォーマンスの関係が穏やかになり、従業員の責任が向上するのである

 ・序列とそれが生み出す不安は心理的安全にネガティブな影響をもたらす。一般に、序列が下位であるチームメンバーは上位のメンバーほど安全性を感じていないことが研究から明らかになっている

 ・組織の心理的安全を高める上で、リーダーは重要な役割を果たす。しかし心理的安全は断じて、好きにつくってよいものでも命令されて生み出すものでもない。むしろ特定のリーダーシップ行動を必要とするものである。

 ・心理的に安全な環境をつくろうとするときには、グループの仕事や、それがどのように変化して来ているかや、しっかりやり遂げるためには何が必要かといったことに焦点をあてるべきである。これにより、心理的安全が必要であるという結論を、人々が自ら見出す事になる

 ・心理的に安全な環境をつくるために、リーダーは、直接話のできる親しみやすい人になり、現在持っている知識の限界を認め、自分もよく間違う事を積極的に示し、参加を促し、失敗した人に制裁を科すのをやめ、具体的な言葉を使い、境界を設け、境界を超えたことについてメンバーに責任を負わせる必要がある。

第5章 上手に失敗して、早く成功する

(lesson&Actions)

 ・観点もスキルもさまざまである人々を1つにまとめる場合、技術面でのチャレンジと人間関係上のチャレンジのために失敗は避けられないものになる

 ・失敗がもたらす貴重な情報のおかげで、組織はいっそう生産的、革新的になり、成功できるようになる。しかし、失敗に対して心理的、社会的に強く反応してしまうために、ほとんどの人が失敗を許されないものだと考えてしまう

 ・人間というのは、頭では組織の中で起きる多くの失敗が避けがたいものだと理解できるが心では失敗すれば非難を受けるものだとどうしても思ってしまう。これによって処罰に対する反応が起き、多くの失敗が報告されなかったり誤った判断がされたりするようになる

 ・失敗の原因はプロセス知識スペクトルのどこに位置するかによって異なる。ルーチンの業務では、失敗はふつうプロセスから少し逸脱する事によっれ起きる。複雑な業務では、不確実性や試みに原因がある事が多い。

 ・組織の中にはうまくいかないかもしれないことが数えきれないほどあるが、失敗は3つのカテゴリー、すなわち、避けうる失敗、複雑な失敗、知的な失敗に大別できる

 ・失敗に対する学習アプローチを開発しようと思うリーダーは、好奇心と忍耐と、曖昧さに対する寛容さを反映する探求志向を取り入れる必要がある。すると、失敗について安心して話せる環境ができ、素直さという規範がたしかなものとなる

 ・失敗に気づく事、失敗を分析する事、意図的な試みを行う事は、失敗から学ぶのに不可欠である。

 ・失敗に気づくのを促進するためには、リーダーは、問題を報告した人を歓迎する事、データを集め、意見を求める事、失敗に気づいたらインセンティブを与える事が必要である

 ・失敗を分析するのを後押しするためには、リーダーは、様々な専門分野から人材を集め、体系的にデータを分析しなければならない

 ・意図的な試みを促進するためには、リーダーは、試みとそれに伴う失敗にインセンティブを与える事、失敗から学ぶ事に対する心理的障壁を取り払うような言葉を使う事、より多くの賢い失敗が生まれる知的な試みをデザインする事が必要である

第6章 境界を超えたチーミング


(lesson&Actions)
 ・今日の職場でチームを組む人々が、同じ信念や考え方や意見を持ってる事はまずない。そうした差異は、意識して注意深く管理されなければ、恊働の邪魔をするかもしれない

 ・「境界」という言葉は、ジェンダーや職業や国籍を含め、人々の間にある目に見える領域と目に見えない領域の両方に当てはまる。また、境界は人々が様々なグループの中で持つ当たり前になっている思い込みや多様な考え方がもとになって存在する

 ・境界をつなぐには、あらゆる種類のグループ内やグループ間に存在する障壁を超えて通じ合おうとする意図的な試みが必要になる。技術の急速な発展やグローバル化の重視により、今日の職場環境においては境界をつなぐ重要性が非常に高まって来ている

 ・チーミングを行う時に最も多くぶつかる境界は3つある。物理的な距離(場所に関する相違)、知識に基づくもの(組織や専門知識に関する相違)、地位(序列や職業的な地位に関する相違)の3つである

 ・上位の目標を設定し、関心を深め、プロセスの指針を示すのは、境界を超えたよいコミュニケーションを促進するための重要なリーダーシップ行動である

 ・地理的な境界を克服するために、グループメンバーは定期的に他のメンバーの職場を訪れ、その職場特有の知識にしっかりと注意を払い、知識の保存と交換に貢献すべきである

 ・組織の多様性によって生まれた知識の境界を克服するために、グループメンバーは一人ひとりの観点を共有し、各組織がもたらす価値を重視し、集団的アイデンティティを確立すべきである

 ・組織の多様性によって生まれた知識の境界を克服するために、グループは専門技術に基づく知識を共有し、集団的アイデンティティを確立し、図面、モデル、試作品のようなバウンダリー・オブジェクトを活用すべきである

 ・ピラミッド型組織の境界を克服し、経験される地位による相違を最小限にするために、リーダーはどんなものでも受け容れる姿勢をもち、事前対策的にグループメンバーと会話をすべきである


■第3部 戦略実行しながら学習する


第7章 チーミングと学習を仕事に活かす

(lesson&Actions)
 ・学習しながら実行するというのは、今行っている仕事に学習を組み込んだ活動の仕方である

 ・学習しながら実行する活動の仕方と対照をなすのが、効率を追求しながら実行する活動の仕方である。これは柔軟性よりも支配を、試す事よりも忠実さを重視し、不安によって支配と順応を促進する事がしばしばある

 ・学習しながら実行することは、状況を診断して、その状況がプロセス知識スペクトルのどこに位置しているかを考えることから始まる

 ・人はつい、自分の仕事はルーチンだ、ニーズに応じて変更される、あるいは創造的だと当たり前のように思ってしまう。そのため、少し時間をとってじっくり診断することが重要である

 ・過去に例のない状況が誤って診断された場合、効率を追求しながら学習する活動の仕方が当たり前のように使われていると、サービスに著しい不具合が生じる可能性がある

 ・学習しながら実行することは4つのきわめて重要なステップー診断、デザイン、アクション、省察ーから成っており、プロセス知識スペクトルのどこに位置する仕事かによって違いがある

 ・学習しながら実行しつづけるには、リーダーシップが不可欠である

第8章 成功をもたらすリーダーシップ


2014年8月14日木曜日

グアルディオラ主義: 名将の戦術眼は何を見ているのかを読了

グアルディオラ主義: 名将の戦術眼は何を見ているのか

バルサBからトップチームを率いるようになり、ドリームチームを具現化し、わずか4シーズンでその幕を閉じたペップが注目された次のチームをバイエルンミュンヘンに決めてから1シーズンが経過した。

2014ブラジルW杯、衝撃的な優勝を遂げたドイツの面々がそのバイエルンを母体にしていたことからも、彼の手腕、仕事ぶりがいかに影響力があるかがわかるだろう。
すでに彼が取り入れた戦術については、様々なサッカー誌で取り上げられているが、なぜバイエルンを選んだのか?という視点での記事はあまり無い。
その視点や、クライフ、ミケルスなどの系譜、ビエルサとの共通項などを様々な角度から検証する。

西部さんは戦術の解説本が多いが、それだけに留まらず、歴史的な経緯なども多く入れてくれている。
ジェフの連載を持っているという肩入れもあるが、それだけではない濃厚な解説が本書には入っていると言ってよいだろう。
ぜひ読みたい1冊だ。

■目次
第1章 世界王者への壮大なる実験(衝撃の3‐0!
グアルディオラ監督の「ロングボールを使え」 ほか)
第2章 究極のフットボールを求めて(バイエルンの戦術を変えるのは少しだけなのか
“バルセロナ”の構成要素 ほか)
第3章 なぜバイエルン・ミュンヘンを選んだのか(運命を変えたひとりの少年
すべてを成し遂げた1970年代 ほか)
第4章 グアルディオラのミッション(同志ビエルサ
ビエルサのフットボール工場 ほか)
最終章 世界戦略という名の野望(マリオ・ゲッツェの天才
切り札としてのリベリー、ロッベン ほか)

2014年8月13日水曜日

キング・コーンを観た


食のドキュメンタリーシリーズを見るブーム。
今回はキング・コーンを鑑賞した。

すでに、色々な食のドキュメンタリーを見て来たが、多くは直接的に関わる食品や家畜だったり、その加工工程の話であったが、今回の話はとうもろこし。
一見すると、それほど問題なさそうだが、かなり問題は大きかった。
2009年に日本では公開されているが、今はどうなっているのだろうか。



イアンとカートは、大学に在籍していた親友同士。これから社会人になるにあたり、「自分たちが普段何気なく口に運んでいる食べ物についてもっと知っておきたい」と、無謀にも農業を始める。 早速、アメリカでもっとも生産量の多い“トウモロコシ”を育てるため、国内最大の生産地であるアイオワ州の農家に移り住み、1エーカー(4047㎡)の土地を借りて農作業に取り掛かる二人。近所の農夫に手伝ってもらい、遺伝子組み換えされた種子や強力な除草剤を使うことによって、農業初心者でありながら驚くほど簡単にトウモロコシを植え育てていく・・・。 こうして作られたコーンはどこへ出荷され、どのように消費されているのだろう?実体験によって、アメリカ的現代農業の実情を目の当たりにした二人は、さらに収穫したトウモロコシの行方を追って、アイオワを離れ旅に出るが・・・。 はたしてその旅の果てに見た、私たちが普段何気なく口にしている物の正体とは・・・?

感想のブログもいくつもある。
映画『キング・コーン』 いろいろ食えなくなっちまっても知らないよ
この中で語られている事はごもっともですね。

また、同DVDには監督のインタビューが入っているのだが、そこに非常に興味深い指摘があった。
ニュージーランドはアメリカ以外で初めて公開された国らしいが、そこは牛を牧草で育てているという。
これは政府の助成金を農家が自ら断って、市場にゆだねた結果であるという点が興味深い。翻って日本の食品はかなりが輸入に頼っているし、90%のとうもろこしが輸入だそうだ。国産の家畜ももしやと思ってしまわなくもないところだ。

作品中にも出てくるが、大規模農場で1年かけて育てたとうもろこしは赤字になるという。しかし、政府がとうもろこしに対して助成金を出しているおかげでまかなっているという。
これによる生産の大量化とモラルハザードは非常に観ていて深刻だと感じた。

何か劇的に改善する方法があるかは正直わからないが、本作品に出てくる家族全員糖尿病になってしまった男のインタビューのように知らずに病気になるというリスクは避けて行きたいものだと思う。

逆境経営を読了

逆境経営―――山奥の地酒「獺祭」を世界に届ける逆転発想法
日本酒業界に彗星のごとく登場した獺祭。
しかし、彗星のごとく登場したのには、様々なストーリーと旭酒造の並ならぬ努力があった。

経営という観点でも学ぶべきところは多いし、米の生産における国の施策と問題点、TPPにおける思いなども参考になる。

そして、なにより、杜氏や蔵人のいない数値管理した製造工程にかなりインスパイアされた。
かなり面白い書籍だった。
日本酒の国内での軽視、ワインと同等のブランディング戦略なども興味深い。

メモ
こだわったのは、社内(特に製造部門)の熱意をいかに維持できるか、という点でした。
〜中略〜
ビール製造は、すでに技術的に解明されている点が多く、原価低減や品質の安定など以外に、技術を工夫して品質を高めていくという目標を設定しにくい面があります。それだけに、彼らを「数年経ったら儲かるから」という希望的観測による動機付けだけで、目標も挑戦もない事業についてこさせることはできません。

■目次
はじめに
第1章「負け組」の悲哀を忘れない
第2章 大失敗から学ぶ
第3章 捨てる勇気を持つ
第4章 「できること」と「やるべきこと」をはき違えない
第5章 常識や慣習にとらわれない
第6章 伝統が持つ奥深さを侮らない
第7章 発信しなければ伝わらない
第8章 打席に立ったからには、思い切りバットを振る
おわりに
資料/日本酒ができるまで

2014年8月12日火曜日

世界へはみ出す 日本でダメなら、海外へ行く。を読了

世界へはみ出す 日本でダメなら、海外へ行く。 (U25 Survival Manual Series)
ネットで金城さんの記事を見て、面白そうだと思って読んでみた。
Kindleやはり便利ですね。

アフリカでビジネスをしている若者ということで、その人が書いているエッセイ的な本。非常にライトな内容でサクッと読めるが、多くの気づきをきれる書だった。

著者の経歴をちょっと抜粋。
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アフリカ8カ国(タンザニア・ザンビア・マダガスカル・ベナン・ニジェール・ブルキナファソ・コートジボワール・ナイジェリア)で、
40社以上の企業経営(金取引、農場経営、不動産、タクシー、運送業、金鉱山運営、ホテル、中国製品の卸売、土地開発など)に携わる。
20代にして「年商300億円」を実現した。日本における「アフリカン・ビジネスの第一人者」の一ひとり。
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こりゃすごい。
特に日本で肩肘張らずに韓国の大学から、そのまま友人達とアフリカでビジネスを開始してしまったというから驚きである。
アフリカでの家族経営の話や日本人である事がいかに有利であるかという点。
やっぱり、考えすぎずに行動することに意義があるなと改めて認識した。
おすすめ。

強いチームはオフィスを捨てる: 37シグナルズが考える「働き方革命」を読了

強いチームはオフィスを捨てる: 37シグナルズが考える「働き方革命」
小さなチーム大きな仕事でおなじみの37シグナルズの本。今回は働き方を変えるリモートワークについての話。

以下、内容紹介抜粋。
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どこにいても世界中の人と簡単にコミュニケーションできるのに、なぜオフィスが必要?
人生の大切な時間を通勤に費やすのはナンセンス!
優秀な人材と一緒に働きたければ、物理的距離なんて関係ない!
前作『小さなチーム、大きな仕事』で圧倒的な支持を集めたカリスマ経営者たちが、今回取り上げたのは「リモートワーク」。
世界に散らばる36人の社員を率いて、数百万人ものユーザーにサービスを届けている彼らが、新しい時代にふさわしい働き方を伝授する。
会社や組織にまつわる固定観念が、徹底的にくつがえる!
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たしかにクラウド環境も色々なサービスが出て来ているし、Githubを始めとしたリモートでの開発環境も整いつつある今、本書に記載されている働き方を実践していくハードルは低くなっているだろう。
また、通勤にかける時間についても、再考の余地はある。個人的に今、通勤にそこまで負荷をかけていないので、同意する場面は少ないのだが、満員電車に揺られて通っている人などには革命的なのではないだろうか。

個人的にリモートワークの実践には非常に興味があり、早い段階で実践してみあいこともあり、本書に書かれているような基本的な事項は参考になった。
従来の働き方に疑問を持つ人はぜひ手に取ってみてほしい。

■目次
イントロダクション―オフィスのない世界
リモートワークの時代がやってきた
リモートワークの誤解を解く
リモートのコラボレーション術
リモートワークの落とし穴
リモート時代の人材採用
リモート時代のマネジメント
リモートワーカーの仕事スタイル

2014年8月11日月曜日

フード・インクを観た



というわけで、食の社会見学シリーズ第1弾のフード・インクを鑑賞した。

第2弾のありあまるごちそうはすでに鑑賞済みです。
「ありあまるごちそう」というドキュメンタリーを観た

もはや上の記事でも書いているのだけど、食品の生産・加工・流通における役割分担によってかなりの情報非対称があるということ。
公開されてから、けっこう時間が経っているものの、現在はどうなっているのか、疑問である。個人的にはあまり改善されていないのではないかと思っている。

ネット上にもいくつもこの作品における記事があるので、リンクしておきたい。

まず、自分も似たような認識がある記事
TPPによる地獄の未来の一つが、映画「フード・インク」にも出ている
日本の食品成分表時や産地の明記などは非常にすばらしいと思うが、TPPの際に、この決まり事に対して米国は懸念を示していたように感じる。

関連記事があった。
米国でもやっと始まった「遺伝子組み換え食品」をめぐる戦い
そもそもの穀物の輸入物などはまあよい。ようやくアメリカでもそういう問題意識が出ているようでもある。しかし、この作品でもあるように、食肉加工されている鳥や豚、牛などの飼料がコーンであったり、遺伝子組み換えであったりすることは、残念ながら食品表示だけでは防げないのである。
米国産の肉はやはり控えた方がよいのかな。

また、他にもいくつか批評がある。
映画『フード・インク』(Food, Inc.)を観た
この記事には賛同する点が多い。特に提供企業を精査する点は消費者の選択として必要であろう。
価格だけでついつい選んでしまいがちであるが、日々の行動で示すということはすなわちそういうことであるはずだ。

また、映画内でdisられているモンサントが公式見解を出しているのも興味深い。
映画「フード・インク(Food,inc)」に関する日本モンサント株式会社の見解

なかなか真実というものはわからないものであるし、高いモラルを持つ人々がいたとしても、流通過程や育成過程、加工過程でより多くの人間が携われば、そのモラルハザードのリスクは大きくなる訳で、それが今回の中国の食肉問題にも関連してくるのではないか。

食に関しては、まだまだ色々と調査する必要がありそうだ。

関連項目

アジの開きかた、人生のひらき方を読了

アジの開きかた、人生のひらき方
ワハハ本舗の代表だった方の著書。

タイトルに惹かれて読んでみたのだが、なかなか良かった。
あの劇団の醸し出す明るい空気はこの人がプロデュースしていたからじゃないかと思える内容。
色々な事に対して、オープンに書いているし、演出をずっとやってきているから、その言の重みというか説得力がある。
非常にサクッと読めるので、気分転換に手に取ってみるのもよいかもしれない。

■目次
第1章 「ない」と思っている人が集まったワハハ本舗―「ない」ということは「ある」をつかむチャンスです。(家がない
フロがない ほか)
第2章 僕の「ない」話します―「ない」ということは恥ずかしいことではありません。皆、初めは「ない」のです。(不幸なんてたいしたことではない
髪がない ほか)
第3章 「ない」と悩んでいるあなたへ―愛のダメ出し―本当に「ない」のですか?「ある」ことに気づいていないだけではないですか?(お金がない
学歴がない ほか)
第4章 「ない」から面白い―「ない」は笑えます。(“学”がない
その仕事じゃない ほか)
第5章 ワハハのこれまでとこれから、終わりの始まり―「ある」ことで安心していませんか?「ある」ことで諦めてはいませんか?(劇団なのに、お芝居はあんまりやらない
舞台をやるのに脚本がない ほか)

「ひらめき」を生む技術を読了した

「ひらめき」を生む技術 (角川EPUB選書)
JOIこと伊藤穰一さんの著書。Kindleで読了。

対談形式になっており、映画監督のJ.J.エイブラムス、IDEOのティム・ブラウン、リンクトインのリード・ホフマン、コメディアンのパラチュンデの4人との対談内容が収録されている。

MITはかなりオープンソーシャルなイノベーションを志向しているうようであり、それに必要なのが各世界におけるスペシャリストとの接点であるようだ。

これはまさにメディチインパクトやエッジイフェクトと同様の思想であり、共感するところである。
非常にライトな内容で読みやすいので、ちょっとした読み物としてどうぞ。

■目次
第1章 多様な価値観を持つこと
第2章 モノ作りは、霧の中のドライブ―J.J.エイブラムスを迎えて
第3章 現場で生きるコー・デザイン―ティム・ブラウンを迎えて
第4章 変化を恐れない、起業家精神を持て―リード・ホフマンを迎えて
第5章 コメディとネットは人をつなげるか―バラチュンデ・サーストンを迎えて
第6章 クリエイティブな現場主義

知性を磨く― 「スーパージェネラリスト」の時代 を読了

知性を磨く― 「スーパージェネラリスト」の時代 (光文社新書)
田坂さんの著書を久々に読みたくなった。
知性を磨くというタイトルも興味を惹いた。

中の語り口調は相変わらずの語りべ具合であるなと思った。
21世紀の知性のあり方、そもそも知性とは何かといった話が書かれている。

僕は彼には不思議な縁があり、たまたま著書を読んでいた際に出会った。奇しくも縁の話をしていたし、著書でも語っていたので、不思議とシンパシーを感じた。
また、彼は他人の時間における大事さを主張するが、彼との本気の対峙はけっこう疲れるのである。
しかし、当時ぺーぺーだった私を含めた新人に彼のような人物が本気で対峙してくれたことは非常に教訓になったと感じている。

そういう意味で参考になった。
しかし、この内容と口調は好き嫌いがあるので、好みが分かれそうだ。興味あれば読んでみるといいと思う。

【目 次】
第一話 なぜ、高学歴の人物が、深い知性を感じさせないのか?
第二話 「答えの無い問い」に溢れる人生
第三話 なぜ、「割り切り」たくなるのか?
第四話 「割り切り」ではない、迅速な意思決定
第五話 精神のエネルギーは、年齢とともに高まっていく
第六話 「固定観念」を捨てるだけで開花する能力
第七話 なぜ、博識が、知性とは関係無いのか?
第八話 頭の良い若者ほど、プロフェッショナルになれない理由
第九話 なぜ、優秀な専門家が、問題を解決できないのか?
第一〇話 「スーパージェネラリスト」とは、いかなる人材か?
第一一話 「垂直統合の知性」を持つスーパージェネラリスト
第一二話 スーパージェネラリストに求められる「七つの知性」
第一三話 なぜ、経営者がスーパージェネラリストになれないのか?
第一四話 「予測」できない未来を「予見」するには、どうすればよいのか?
第一五話 なぜ、「目標」と「ビジョン」が混同されるのか?
第一六話 「志」と「野心」は、何が違うのか?
第一七話 なぜ、「戦略」とは「戦わない」ための思考なのか?
第一八話 なぜ、優れたプロフェッショナルは、「想像力」が豊かなのか?
第一九話 「知性」を磨くための「メタ知性」とは何か?
第二〇話 なぜ、古典を読んでも「人間力」が身につかないのか?
第二一話 あなたは、どの「人格」で仕事をしているか?
第二二話 なぜ、多重人格のマネジメントで、多彩な才能が開花するのか?
第二三話 なぜ、スーパージェネラリストの知性は、現場にあるのか?
第二四話 なぜ、人類は、二〇世紀に問題を解決できなかったのか?
第二五話 「二一世紀の知性」とは、いかなる知性か?

2014年8月3日日曜日

「ありあまるごちそう」というドキュメンタリーを観た

最近、鳴りを潜めていたのだが、再びドキュメンタリーを観ようという機運が自分の中で高まって来ている。
(外が暑いからかもしれない)
というわけで、表題の通り、「ありあまるごちそう」We feed the Worldを鑑賞した。

 
食の安全シリーズということでフードインクという作品が第1弾(こっちはまだ観てない)で、第2弾が今回のありあまるごちそうというわけだ。

公式サイトもリンクしておく
公式サイト

どうやら、アメリカとヨーロッパの1次生産の実情を表現したドキュメンタリーということのようだ。

この作品は飽食の日本に生きる人々全ての教養作品としてみる事を義務づけてもよいのではないかというほど、観ていて心が痛くなる作品だった。
すばらしい感想を書いているブログがあるので、リンクしておく。

『ありあまるごちそう』 – 食糧の不均衡は解消できるのか?〜映画で「食の社会見学」〜

上記にもあるのだが、このドキュメンタリーは構成が非常に見事である。
ちょっとだけ引用しよう。
最後にはなんと世界最大の食品会社のひとつネスレのCEOが登場します。このインタビューがすごい。彼は自信満々に自社がいかに先端技術を用いているかや、どれだけ多くの社員を養っているのかについて語ります。しかし、ここに至るまでにさまざまな事実について学んだ観客には、彼の言葉に現れない原料生産者などの姿が見えるのです。 この作品は私たちに今まで知らなかった事実を伝えてくれることも確かですが、さらに素晴らしいのは、その事実が何を意味するか、それを私たち自身に解釈させているという点です。私たちはただ教えられたことよりも、自分で考えて導き出したことのほうをより強く記憶します。だからこの映画で提示された事実から自分で考察したことは観客の身になるのです。
こういう作品に出会うごとに自分の置かれている状況を冷静に考えようと思う。
日本という国は世界でみれば、本当に幸せな環境であるということだ。
しかし、食の安全などが騒がれるけど、特に何か行動を起こす訳でもないし、みんな表面的な情報に流されているだけなのだなぁと自覚する。

関連項目でこちらもおすすめ
衝撃的な内容。「いのちの食べ方~Daily Our Bread」を観た。


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